活動報告

DNGL 災害支援報告

2018年7月岡山県倉敷市発生した水害に対し、真備地区で被災しながらも避難所や地域の被災者への支援活動を開始していた専門家を支援するため、発災後2日目に物資を持参して、DNGL兵庫からの先発隊として現地に赴いた。

避難所の環境:
真備地区で200名以上の被災者が避難している薗小学校と岡田小学校を訪問した。電気は開通していたが、断水のため給水車が設置されており、水・衣料・生活用品が少しずつ届けられていた。大規模水害で断水であることから、衣服は使い捨て状態になっており、下着をはじめとする衣料品、そして妊婦・乳児・高齢者に必要な衛生用品や食事は要請がなくても早期に提供される必要性を感じた。また、気温の上昇とともに、空調設備の整っていない体育館や教室では、窓を開け放していたため、害虫の侵入にも悩まされている様子であった。

避難所マネジメントの実態:
避難所の管理は市と学校の職員が中心となり、3交代制で活動しており、早期からトイレの清掃や物資整理は行われていた。大きな指定避難所では医療チームの活動と保健師の巡回により、避難所の環境や医療ニーズに対する情報収集は開始されていたが、名簿の整理が行われていないことで、避難者の正確な数や属性などの把握が困難な状況だった。

 

避難所における健康課題:
避難所の過密状態が持続することによる感染症の発生や医療ニーズの増大、名簿が整理や地域巡回に対するマンパワーの不足があり、看護の視点からケアの継続の困難性とヘルスニーズの拡大が考えられた。そこで、看護の担える役割として、保健医療職が不在となる夜間のケア提供と避難所および地域のヘルスニーズアセスメントのための人員確保を提案した。

活動内容:
倉敷市の保健医療復興支援事務局本部に常駐し、夜間の避難所や地域の生活実感についての情報提供を通して、保健師と医療チームとの情報共有を実施し、支援継続できるようDNGLの活動拠点の確立に向けて関係者との関係構築を図った。

活動結果:
上記2つの避難所に夜勤看護師を配置し、夜間の避難所の状況と医療ニーズを把握した。巡回時には血圧測定希望者も多く、内服薬を持参していないため血圧コントロールができていない避難者もいた。被災した自宅の片付けから避難所に戻ってくる被災者は、夕食の配給される19時前から増加し、切り傷や擦り傷、打撲、脱水症状、腰痛、眼脂などの訴えにより1時間に10件程度、ケアの必要な避難者に対応が必要であった。若い独身女性やペット連れ、喫煙者を中心に車中泊者もいることが把握された。NPO連絡会議に出席し、人道支援・福祉の専門家との情報共有を行ったことで、さらに支援の行き届いていない自主避難所を発掘することもできた。

以上の情報を医療者ミーティングおよび保健師ミーティングで共有し、避難所への自動血圧計の設置、夜勤看護師が常駐する保健室への衛生用品の支給、医療チームに持参してほしい薬品や個別ケースへの対応について提案した。保健師により、人数の多い指定避難所を優先して自動血圧計の設置および衛生用品の物資提供が実施された。医療チームが常駐できていない避難所への保健師の巡回も開始され、車中泊者を中心にDVT予防の指導と弾性ストッキングの配布も検討された。

臨時のコーディネート役割を担う中で、看護師が持つ医療・ヘルスニーズを明確にするためのアセスメント能力および情報集約能力の必要性が認知され、事務局本部の再編成のタイミングで、避難所アセスメント班に所属することとなった。

これらの活動から、夜間の保健医療ニーズは持続しており、継続的な人材派遣が要求され、さらに、保健師と医療チームおよびボランティアナースの把握する情報を統合し、被災地域の医療ニーズ・ヘルスニーズの明確化と適切な人員・物資配置が行えるコーディネーターの役割を担う人材の必要性が示唆された。

記:藤田さやか(DNGL1期生)